日本史の深淵

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古事記の秘める数合わせの謎と古代冠位制度史

 

古事記の秘める数合わせの謎と古代冠位制度史

 

古事記は、日本最古の歴史書であり、日本の神話や伝説、古代の出来事が記されています。

その中には、数字に関する不思議な記述が多数見られ、古代日本人の数に対する観念が垣間見えます。

今回は、古事記に隠された数合わせの謎と、それに関連する古代の冠位制度について探っていきましょう。

古事記に登場する神聖な数字「3」と「5」

古事記では、「3」と「5」という数字が頻繁に登場します。

例えば、イザナギイザナミが国生みをする際、「3」回の失敗の後に初めて国ができたとされています。

また、オオクニヌシ高天原に上がる際、「3」つの試練を課されたという記述もあります。

「5」については、スサノオ高天原で暴れた際、天照大神が「5」百津の鏡を作って身を隠したという有名な神話があります。

これらの数字には、古代日本人にとって特別な意味があったのでしょう。

冠位十二階と数の象徴性

古代日本の身分制度である冠位十二階も、数合わせと深く関わっています。

冠位十二階は、最上位の一品から最下位の大初位までの12段階で構成されており、「12」という数字が重要な意味を持っていました。

また、各位の色も数の象徴性と結びついており、例えば紫は最高位の一品に、緑は五品に対応していました。

冠位十二階という制度自体が、数の象徴性を体現したものだったのです。

古代日本における数の呪術性

古代日本では、数字には呪術的な力があると信じられていました。

特定の数字を唱えたり、数を操作することで、現実に影響を与えられると考えられていたのです。

例えば、「8」は末広がりの縁起の良い数字とされ、「4」は死を連想させる不吉な数字とされていました。

古事記に登場する数合わせも、こうした数の呪術性と深く結びついていると考えられます。

数を操ることで、神話的な出来事を象徴的に表現しようとしたのかもしれません。

現代に通じる数のシンボリズム

古代日本人が数に込めた象徴性は、現代にも通じるものがあります。

例えば、「3」は現代でも完全性や調和を表す数字として用いられることがあります。

また、「4」が不吉とされる傾向は現代の日本社会にも根強く残っています。

古事記に見られる数合わせは、古代日本人の世界観を反映したものであると同時に、数に対する普遍的な認識の一端を示しているのかもしれません。

数のシンボリズムは、古今東西を問わず、人間の心性に深く根ざしているのです。

古事記の数合わせの謎からは、古代日本人の数に対する観念や信仰が垣間見えます。

それは単なる計算の問題ではなく、世界観や価値観と深く結びついた、呪術的で象徴的な営みだったのでしょう。

同時に、古代の冠位制度にも数のシンボリズムが色濃く反映されていました。

数は古代日本人にとって、現実を司る重要な原理であり、それを操ることは聖なる行為だったのかもしれません。

そうした古代の数への観念は、形を変えて現代にも受け継がれています。

古事記の数合わせの謎は、数が人間の心性に与える普遍的な影響を考えるヒントにもなるでしょう。

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